イントロダクション

これがマドンナの堕落論。  世界でこれほどまでに成功を収めた女性は彼女のほかに存在しない。 ミュージック界の女王、マドンナがついにメガホンを取った!

世間を挑発し続けるマドンナの初監督作品は、 驚くほど率直で、ささやかで、チャーミングな青春映画

四半世紀以上にわたってショウビジネスの頂点に君臨するポップスター。タブーに挑み続ける希代のセックスシンボルにして、政治家以上の影響力を持つオピニオンリーダー。世界でもっとも多くの称賛と批判を浴びながら、歌手、ダンサー、女優、絵本作家として新しい価値観を打ち出してきた彼女が、念願の映画監督デビューを果たした。
世間を挑発し続けるマドンナの初監督作品は、 驚くほど率直で、ささやかで、チャーミングな青春映画 ロンドンの片隅。ウクライナ移民のAKはミュージシャンとしての成功を、ホリーはバレエの舞台で踊る日を、ジュリエットはアフリカの貧しい子供たちを救うことを夢見ながら、理想からは程遠い現実を生きている。コインの表裏のように一体である“filth=堕落”と“wisdom=賢明”のあいだを彷徨いながら、いつ叶うとも知れない夢を追いかける毎日。何をしてもうまくいかない。でも、努力する姿はきっと誰かの心に届いている。希望の光は、暗闇の中でこそ見出せるもの――。
マドンナ自身を投影させた3人の若者を主人公に、成功への渇望や家族との確執といった普遍的な青春の葛藤と、多民族社会や貧困問題といった今日的なテーマを鮮やかに描き出した本作は、気鋭作家によるインディペンデント作品が集うベルリン国際映画祭パノラマ部門で初披露され、舌鋒鋭い批評家たちから喝采を受けた。「ただの映画監督としてデビューしたかった」というマドンナの夢がまたひとつ、実現したのだ。

マドンナが惚れ込み、ストーカーのように追いかけ回して 主演にこぎつけた男、ユージン・ハッツ

マドンナが惚れ込み、ストーカーのように追いかけ回して 主演にこぎつけた男、ユージン・ハッツ主人公のAKを演じるのは、NYの音楽シーンでカリスマ的人気を誇るユージン・ハッツ。ロマの血を引く彼は、少年時代にチェルノブイリの原発事故で故郷ウクライナを離れ、ヨーロッパ各地を転々とした後、移住先のアメリカで多国籍のジプシーパンクバンド“ゴーゴル・ボルデロ”を結成。世界各地の音楽を取り込んだ猥雑なサウンドと哲学的な詩、何が起こるかわからない予測不能なステージパフォーマンスで、熱狂的なファンを生み出してきた。また、唯一無二の才能と、21世紀のボヘミアンドリームを体現するかのような生き方に加え、ワイルドさと繊細さが入り混じった風貌を持つ彼を、他ジャンルのクリエイターも放っておかず、グッチの2008秋冬メンズコレクションのインスピレーション源になるなど、カルチャーアイコンとしても注目されている。まさに時の男なのだ。
一方、駆け出しの頃のマドンナを彷彿とさせる2人の女性をみずみずしく演じるのは、新進女優のホリー・ウェストンとヴィッキー・マクルア。そして、ロバート・アルトマンやマーティン・スコセッシ作品などで知られる名優リチャード・E・グラントが、若者たちに人生の知恵を授ける役どころで圧倒的な存在感を見せつける。

一流のクリエイターたちとの共同作業によって 最大限に引き出されたマドンナの感性

一流のクリエイターたちとの共同作業によって 最大限に引き出されたマドンナの感性 長編初監督とはいえ、これまで自身のミュージック・ビデオなどで最先端の映像表現に携わってきたマドンナは、本作において「自分がこれまでの人生で愛し、大切にしてきたもの……文学、音楽、ダンス、すべての要素を表現することができた」と語る。
ファッションブランドH&MのCMをマドンナが演出したことがきっかけで生まれた本作は、当初は短編として企画されたが、次第にロンドンで暮らす登場人物たちのストーリーが膨らんでいき、長編として完成した。脚本は、夫のガイ・リッチー監督作品を支えてきた新鋭ダン・ケイダンとともにマドンナ本人が執筆。H&MのCMや「レイ・オブ・ライト」などのPVでマドンナと共同作業を重ねてきたニコラ・ドーリングが製作をつとめている。その他、撮影にビョークのPVや『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』、『ヒューマン・ネイチュア』などを手掛けるティム・モーリス=ジョーンズ、美術にファッション広告のアートディレクションや『バッファロー’66』『アメリカン・サイコ』で知られるギデオン・ポンテ、衣装にレニー・クラヴィッツやマリリン・マンソンらミュージシャンのスタイリングを手掛け、『ドミノ』でトニー・スコットに抜擢されて注目を浴びたBなど、ジャンルを越えて活躍するトップクリエイターたちが揃った。
決してハリウッドのお仕着せ企画などではなく、自己プロデュースの天才・マドンナがその才能と経験と人生哲学をつぎ込んで信頼するアーティストたちと作り上げたのが、この『ワンダーラスト』なのである。

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